皆さんは、桃太郎トマトご存じですか? 甘くて、固くて、とっても人気のあるトマトです。現在日本の生食のとまとの大部分を占めているトマトです。私もその桃太郎を育てています。
この桃太郎とまとの甘さの秘密を探ってみたいと思います。これから書くことは、全て私の体験からくるものです。文献や資料を調べたと言う訳ではありません。事実と異なる事があるかも知れません。ご了承下さい。これは私の体験談です。
桃太郎が、他のトマトと比べて味がよいのは、ズバリ!!根の形態が違うのです。!?
 植物の根は左の図の用に主に2種類に分けられます。
 左は単子葉類、右は双子葉類(小学校で習いましたね!!)の根です。とまとは双子葉類ですので、右の主根と側根のタイプです。ところが、桃太郎とまとの根は、本来の形と違う、左のひげ根のタイプになり安いのです。
 

 ひげ根のタイプ(以後、細根型)が何故良いのかと言うと、成長点の数が主根と側根タイプ(以後直根型)よりも、数多くあると言うことです。細根型は主根が何本もあると考えて下さい。
 実は、Ca(カルシウム)等のミネラルは根冠と呼ばれる成長点でしか吸収されないのです。とまとの糖度や固さに関係すると言われるCaは(単体では存在しない為)、分子が大きく、根の途中からは吸収されません。それ故、細根型と直根型の根の形態では、成長点の数の多い細根型の方が断然有利になります。
 桃太郎と言う品種は、生まれつきこの細根型になり安いのです。それで、誰が作っても、桃太郎と言う品種は、甘いのです。これが人気の秘密です。

 ここで、どうして本来直根型の根が細根型に成るのかと言う疑問が生じます。
 実は、ひげ根(細根型)は、主根と側根(直根型)の変形型なんです。種から発芽した主根が、何らかの理由で成長が止まるとします。そうすると、植物は生きるために次から次ぎへと新しい根を出します。その事が結果的に直根型が細根型になるのです。
 桃太郎とまとがいくら細根型になり安いと言っても全てがそうなる訳ではありません。確実に細根型にするために、私達は色々な努力をしています。
 種を播くときからその準備をします。左の写真の根巻き防止トレイが、その秘密兵器です。
 三つ子の魂百までと言いますが、まさに、とまとにも当てはまると思います。つまり、種を播いてからポットに移植するわずか20日間で美味しいトマトになる資質を決めることが出来るのです。

 念の為ですが、上の写真は、うつぶせの状態です(笑)。縦に溝が入っているのが解ると思います。種から発芽した主根の先端が、この溝があることによって、下の穴へと導かれます。(溝がないと底の方でぐるぐる巻いてしまう)。空気に触れると根は伸びませんので、植物は生きるために次から次ぎへと新しい根を出します。
 本葉3葉期の根を比較してみると根巻き防止トレイと溝なしトレイとでは全く違います。この事がまさにわずか20日間で美味しいトマトになる資質を決めることが出来る訳なのです。
 
終わり